茉莉花の少女
第28章 戻るつもりのなかった家
 家に出ると今すぐにでも雨が降りそうな空をしていた。

 僕は傘を持つと、家の外に出る。

 そのとき辺りの大気を冷やしていく風の存在に気づき、いつも僕の手をつつみこんでくれていたぬくもりがないことに気づいた。



 僕はコートのポケットに手を突っ込むと家を出た。
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