茉莉花の少女
 家に電気がついていないとほっとする。そう感じるようになったのはいつからなのか覚えていない。

 でも、中学に入ったくらいから、そう感じることがたびたびあった。

 だから、そう最初に感じたのは小学生くらいからなのだろう。


 電気がついていないのを確認し、鍵を差し込む。

 鍵の開く音が聞こえると、ドアノブを捻った。

 彼女が家に戻らなくなって一ヶ月。やっとあの匂いが気にならなくなった。

 このまま永遠に戻らなくてもかまわない。それほど彼女の身体から漂う匂いが嫌いだった。

 手を洗うと、居間の窓を半開きにする。生暖かい風が部屋の中に飛び込んできた。
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