それは、純愛未満

……ああ、吐きそうです。

私は俯いて、吐かないように深呼吸した。

すると突然下から覗かれ、私は彼の顔を見ないように目線を逸らした。

そしたら何故かまた目線を合わせようとする彼に、こっち見ないでくださいと言った。


「なんで?」

「吐きそうだからです!」

「……は?」


ワケが分からないようで、彼は口を開けっ放しにしている。


「あなたがあり得ないことを言うから、吐き気が止まらないんです」

「…なんで」


え、まだ分からないのですか。


「私はそうゆう台詞が大っ嫌いなんですよ」


そう言って、私は彼を置いて駅まで走りました。
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