それは、純愛未満

──あ、いた。

しばらくすると、あからさまに顔がこちらから見えないように変な方向に首を曲げながらにいてきた。

…やば、もう笑いそう。

いまだに話しかける女を蹴散らして、女の元に近付いて話しかけた。

こちらに振り返った途端、女の顔が強張った。

そのあからさまな態度にムカついたけど、とりあえずお金を返した。

なんで?という顔をしている女を見て、返してもらえないと思ったらしい。

…そこまで最低じゃないんだけど、俺。


「使っちゃおーかなと思ったけど、やめた」


俺はこの女を試すために、嘘をついた。
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