それは、純愛未満
「近くないですか?」
「近くないですよ?」
口調を真似されて返事が返ってきた。
…なんか、宮崎彗に敬語で言われるとムカつきますね。
走るのをやめて、できるだけ早めに歩く。
「なんかつまないなー」
「知りませんよそんなこと」
その会話を最後に私たちの間に無音が続いた。
まさかもういないんじゃないかと、後ろに振り返った。
「──いやいやいや、近いですって」
あと少しでぶつかってしまいそうな距離に宮崎彗はいた。