それは、純愛未満
「…いくらでしょうか」
「は?」
「見物料、あなたが言ったんでしょう」
私は鞄から財布を取り出した。
早く払って、もう2度と関わらないようにすればいい。
「…あんた、馬鹿でしょ」
あなたと今後一切関わらないのなら、馬鹿でもなんでもいいです。
───しかし、なかなか金額を言わない。
…遅刻してしまう。 私は財布の中にあったお札を全部彼の手の中に押し込んだ。
「これで、2度と私に話しかけて来ないでください」
彼が何か言った気がしたが、そのまま教室まで走った。