それは、純愛未満
「これは?」
聞くと彼は綺麗にセットされた茶髪をぐしゃぐしゃにした。
「使っちゃおーかなと思ったけど、やめた」
「…あ、私が渡したお金ですか?」
でも、なぜでしょう?
他の人に貰える約束でもしたのでしょうか?
だとしたら朝私がやられたあの方法ですね、ご愁傷様ですその気持ち痛いほど分かります。
「だって、お金受け取ったら話しかけちゃダメなんでしょ? 嫌だったから、やめた」
──俺、君のこと気に入っちゃったし。
…と、どこかの少女漫画みたいな台詞を吐いた。