こんな世界でも君となら…




フェンスを登りはじめて数分。



やっとフェンスの淵にたどりついた。



屋上の地面からも結構高い。



淵に腰掛けて下を見下ろせば、薄暗い中に
ポツポツと住宅の光が見える。




少し離れた所にはたくさんの車が走っている
大きな道路。



高いビルが立ち並んだ街。




いつもは見上げるだけだった景色も今では
私が見下ろしている。




あんな狭苦しい空間でよく普通に過ごせるなと
流れゆく光を眺めながら思った。







たくさんの人が集まる都会。

ここはその中でも人が少ない地域。



屋上の真下は一様道路だが、車なんてたまにしか通らないし、ましてや歩行者なんてほとんど来ない。




真っ暗な中に街灯が数メートルおきにポツンとあるだけだ。




煌びやかな街とは正反対の
静かで暗いところ。


< 5 / 13 >

この作品をシェア

pagetop