空に響く歌声……
そうすると、母は言ったのだ。

「じゃぁ、誰がそんなことするの。」

言えなかった。

金口太亮だなんて、口が裂けても言えなかった。

言えるはずがない。

だって、宮本先生の甥なのだから。

宮本先生に、失礼なことをした。

分かっていた。

でも、その時は、認めたくなかっただけで悪気があったわけではなかったのだ。

そんな話を、甥の金口が聞いてくれるわけもないのだ。

そんなこと、母に言えるわけないのだ。

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