ドラゴンの鍛冶屋
「あらあら、かんむりがこわれてしまいましたわ」

王は、岩をほるのにむちゅうで、うっかり、かんむりをこわしてしまったのです。

「困った、困った」

「困ったわ、困ったわ」

王と妃は、おろおろ、おろおろ。

それもそのはず。
岩ドラゴンたちに伝わるこのかんむりは、かぶっているときだけしか、岩をほる力がだせないのです。

「ドワーフを、かんむりをつくったドワーフをよべ!」

「ドワーフは、西のどうくつにすんでいたドワーフは、ひっこししてしまったわ」

またも、王と妃は、おろおろ、おろおろ。

そのとき、それをみていたドラゴン兵の一人が王に言います。

「王さま!東のむらに、うでのいい鍛冶屋がおります!」

鍛冶屋(かじや)っていうのは、鉄をさいくする仕事をする人のこと。

「本当か、本当か!では、そのドワーフにかんむりをなおしてもらおう」

「ええ、ええ。そのドワーフに、かんむりをなおしてもらいましょう」

よろこぶ王と妃に、ドラゴン兵がすまなそうな顔で言います。

「王。その鍛冶屋は、ドワーフではなく、人間です」
王と妃は、それをきいてびっくり!

人間は、とってもこわい生き物だからです。
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