言葉にできない。

「ちー?」


ノックの音もしないまま、そう声がかかる。

ハッとしてパソコンをスリープにしてドアを開けた。

「どうしたの?」

スルリと部屋に入ってきた東條は何時もと違う格好をしていた。


「どう?」


キッチリとした濃紺にピンストライプのスーツを着た東條は見惚れるほどいい男だ。


「どうって・・・何があったの?」

「えっとね。俺、ちーに仕事の話したことなかったよね?」

「うん、パソコンに向かってるのが仕事って・・・。」

どういう意味なのか問うことはしなかった。

深く知り合うにはまだ時間が欲しかったから。

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