言葉にできない。
手を繋ぎ、別の場所に行くと東條が小さな声でささやいた。
「坂下先生って女ったらしでね。
ああやって女の子を引っ掛けるんだよ。よかった、気が付いて。」
そうですか。
知りませんでした。
知るはずのない世界ですから。
…って、何拗ねてるんだろう、あたし。
東條さんが急に遠い人に見えたから?
いつもの彼じゃない姿を初めて見て、近付いたと思っていた2人の距離が思っていたよりも遠くて、なんだか・・・淋しい。