言葉にできない。
うめを見ると優しい顔をして笑っていた。
ゆっくりと手の甲を撫でて、そっと離す。
「美華子のことでちーが心に傷を負ってしまったのは、あたしも気がかりだった。
でも。
司ちゃんがね、俺に任せてくださいって言うからさ。
任せてみようかなと思ったのは間違いじゃなかった。
ま、いいんじゃないの?
ちーが司ちゃんを信じていようと思ったのならあたしが言うことないしね。
じゃ、交代しようかな。」
そう言って開いた扉の前に、何時ものヨレヨレスエット姿の東條が立っていた。
淋しそうなその表情は、いつもの冴えない万年寝癖頭の、愛しいヒト。