言葉にできない。

部屋の外でうめたちが騒いでいるのはわかってる。


わかってるのに身体が動かない。

壁にもたれ止まらない涙を必死に止めようと試みる。




「ちー?」



優しい声がした。


ふと前を見ると扉の前に愛しい人の笑顔。

両手を伸ばせば届く距離にあって、千鳥は無意識に手を差し出した。



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