言葉にできない。


「美華子はうちで働くごく普通の社員だった。
私との接点なんて全くなくて。
偶然だったんだ、彼女と知り合ったのは。

その日は朝から重要な会議があって役員も私もピリピリしていた。

そんな会議室にお茶を持って現れたのが美華子だった。

普通なら記憶にも残らないはずなんだが・・・彼女はピリピリしていた私たちにコーヒーを運ぶとカップの横に小さなチョコレートを2つずつ置いて行ったんだ。

退室する時にそれを尋ねたら’’甘いものは心を落ち着けますよ’’って。


笑ったんだ。
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