言葉にできない。
③
「美華子はうちで働くごく普通の社員だった。
私との接点なんて全くなくて。
偶然だったんだ、彼女と知り合ったのは。
その日は朝から重要な会議があって役員も私もピリピリしていた。
そんな会議室にお茶を持って現れたのが美華子だった。
普通なら記憶にも残らないはずなんだが・・・彼女はピリピリしていた私たちにコーヒーを運ぶとカップの横に小さなチョコレートを2つずつ置いて行ったんだ。
退室する時にそれを尋ねたら’’甘いものは心を落ち着けますよ’’って。
笑ったんだ。