言葉にできない。
最終章
①
父親と別れ、旅行の続きを楽しもうと駅まで歩く道すがら。
不意に司が声を上げた。
「ちー、そういやぁお父さんにアパートに空きがあるって言ってたけど、満室だよ?」
そう言って笑う東條の顔は何処かぎこちなくて。
「うん、空くでしょ?司くんが201明け渡したらいいんだから。」
「え?!何で??俺どこに行けばいい・・・の?」
問いながら何と無く分かったのだろう。
途端に鮮やかな笑顔になる。