羽の音に、ぼくは瞳をふせる
桜の下で、ぼくたちは・・1-1

< 桜の下で・・ >1-1


桜が舞っている
きみと初めて出会ったのは


そう桜の頃


オレはただの学生で
きみは同じ時間、
同じ道を通り過ぎる女の子


大学生になって
何がかわることもなく
ただ大学前の桜並木を毎日意識なく

歩いてた


白い木綿のワンピースに
ただひとつに結ばれた黒い髪が
風で遊ぶ桜の花びらのように舞っている

きみの横顔を見た時に泣きそうになった
だって意味もなく懐かしかったんだ


会ったこともないのに
どうしてこんなにも

懐かしいのか分からない


それからは・・
もう一度会いたくて


昼からの授業の時も
きみが通り過ぎる時間帯に
同じベンチに座る


どんなにオレの心を弾ませているか
きみは知ってるの?


オレはその姿をみるだけで満足で
その歩く姿をみるだけで

夢を幸せな夢を見れているようだ
心が温かくなる

人を好きになるのはこんな気持ちなのか
横顔は別の顔かもしれない


切ないのは苦手だ
自分が弱くなるから


きみの髪をゆらす独特の歩き方

オレはまるで初めて人を好きになったような
少年のような心で


きみが気づいてくれる
笑いかけてくれるなら
この場所で永遠の眠りついてもいい


それなら眠り姫のように
オレを永遠から起こすような

キスをしてくれる?


どうしたらオレに気付いてくれる?
きみが好き


きみがオレの人形になればいいのに
オレはきみを手中にするなら
どんな犠牲もはらうから


好きになるのは
思っているよりも
誰かを傷つけてしまうのかもしれない


オレを想ってくれている子がいても
それはきみじゃない
話した事も日常ですれ違いさえないのに

きみはオレを夢中にさせる

その細い指をオレの指に絡ませて
ゆっくり歩いていく
ただそれだけで良いと



  きみに夢中だ



どこから来てどこへ行くのか
そんな事は知らなくてもかまわない

心が切なくて辛い
どんなに追いかけても気付かれない想い


これが片思いなのだろうか
話しかければ恋が始まるのだろうか
 

きみを見ると心が切なくて痛む
この一瞬こそがオレの幸せの

かもしれない


今日も花びらが並木道を彩る
きみが通り過ぎた、その場所に
ただ落ちた 一冊の本
それは旅行記の本だった

オレはその落ちている本を
かがみこんでつかむと
走り出す 



きみと恋を始めるられるか
分からないけれど
ただ一筋のチャンスにかけて
オレにきみの心を掴み取る翼があるなら



かみさま今だけ オレに
オレだけに 彼女からオレがとても
輝いてみえますように


ふり返るきみ、その瞳には
どう映るかな・・オレが



きみが好き ただそれだけを伝えたくて
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