ツンデレな彼と甘キュン社内恋愛
やっぱり、分からない人。
冷たくて素っ気ない。けどその冷たさが温かい。『最低』って言ったのに、こうして隣を歩いてくれる。
お酒が抜け切らない私の歩幅に合わせて、ゆっくりゆっくりと歩く。そんな彼に、心が揺れる。
「…家、ここ」
やって来た自宅の前で、私の言葉に彼は足を止めた。
「一軒家…実家暮らしなんだ」
「う、うん。家近いからアパート借りたりするのももったいないかなって」
「あー、そうだね」
門に『原』と書かれた二階建ての自宅を見て頷きながら、その手はそっとほどかれる。
あ…、離れちゃった。
少し名残惜しくもそれ以上繋ぎとめることは出来ず、体温は離れてしまう。