ツンデレな彼と甘キュン社内恋愛
「かっ彼!?」
「えぇ、何日か前に送って貰ってたでしょ?あの背の高い男の子」
「見てたの!?」
「二階の窓から偶然、ね」
それはあの日…家の前まで送ってくれた青井くんのことを指しているのだろう。
ひやかすつもりもなくにこにこと問う綾奈ちゃんに、私はわたわたと首を横に振る。
「ちっ違う!違うよ!別に青井くんは彼氏とかそういうのじゃなくてっ…」
「あら、そうなの?手つないで歩いてたからてっきり…」
「ああああれは決して深い意味などなくて!親が子供の手を引くような気持ちというか!!」
「あらあら…」
否定すればするほど真っ赤になる私の顔に、ますますおかしそうに笑ってみせる。
「ん?玄関に突っ立って何の話してんだ?」
「べっ別にお兄ちゃんには関係ない!」
「へ??」
「彼方ー!早くおつかい行くよー!」
「あーいっ」
お兄ちゃんに知られようものなら、余計からかわれるのは目に見えている。そんな気持ちから、私は彼方の手を引き逃げるように家を出た。