ツンデレな彼と甘キュン社内恋愛
『ごめん、言いすぎた』
夜の街で彼に助けて貰い、二人で帰った日から数日。青井くんは、相変わらず普通だ。
あの翌日も会社に行ったら普通に仕事をしていて、『おはよう』とかけた声にもいつも通りのテンションで返してくれた。
それ以上、前日のことについて話したり問われたりということはなくて…怒っている様子も、もう感じられなかったと思う。
せめてお礼がしたいと思って、いつも彼が飲んでいるオレンジジュースを一本買って青井くんのデスクに置いておいたら、いつの間にかからになった缶が私のデスクの上に置かれていた。
…あれはつまり、『飲んだよ』ってことなのかな。
相変わらず言葉数の少ない人。だけど、黙って隣で作業をしているだけで意識してしまう。
「すーぱー、なにかうのー?」
「カレーのルーだよ。今夜はカレーだって、よかったね」
「ん!かれーすきー!」
今、こうして彼方と繋ぐ手に思い出すのは、あの日彼と繋いだ手。私の手なんてすっぽりと包んでしまうくらい大きくて、あの日の感触が今日もこうして頭の中を占めるよ。