ツンデレな彼と甘キュン社内恋愛
体を包む力強い腕と、彼の匂い。驚きは次第にドキドキへと変わる。
「あっ、あおっ、青井く…!?」
「…、」
抱き締めるこの腕が、何を意味するのかはわからない。そもそもどうしてそこまで心配してくれたのかも、私の前では愛想笑いじゃないのかも、全部全部わからない。
だけど、耳を当てた彼の心臓からドクン、と聞こえた大きな音。それだけで全て、わからないままでもいい気がした。
たったひとつだけわかったのは、確信の得られなかったこの気持ち。
苦手だった彼に抱き締められて、気付いたよ。その笑顔が嬉しくて、私だけに向けてほしくて、愛しいと思う理由。
青井くんのことが、好きだから。