ツンデレな彼と甘キュン社内恋愛
「…え…?」
『ダメだ』
ダメって、どういう、こと?
触れられない。キスは、出来ない。この距離、あとほんの数センチの距離。ここまで近付いても、ダメ?
「…ごめん、」
彼はそう呟くと、顔を離し元の位置に座り直す。
やっぱりダメ、ごめん。…あぁ、そうだよね。
『原さんだけは、ありえない』
そうだ、そもそも私は彼に嫌われてるんだった。
ありえない、触れるわけがない、今になって思い出した現実がショックで涙も出ない。
「…原さ、」
「も、もう終わりだね!早いなぁ!あっ、雛ちゃんたち先に降りて待ってる。私たちも行こう」
それまでの空気をなかったことにするかのように、私は笑顔を作って不自然なくらいの明るさで、一周を終えたゴンドラを降りた。