ツンデレな彼と甘キュン社内恋愛
「みくちゃー!」
「わっ!」
名前を呼ぶ幼い声にふと我に返ると、目の前にはぶーっと頬を膨らませた彼方の顔。
その姿に、そこは帰宅した自宅であることを思い出す。
「ご、ごめんね、ちょっとボーッとしてた」
「みくちゃー、なんもはなしきいてくんなぁい!」
「ごめんごめん…」
いつもより少し早く仕事を終えた今日。帰宅した家にはまだ綾奈ちゃんと彼方しかおらず、キッチンで夕飯の支度をする綾奈ちゃんの代わりに私は居間で彼方の遊び相手をしていたのだった。
「きょうねー、てれびでねぇ、びっぐまんがぴんちでねぇ!」
「そうなの?ビッグマン勝てた?」
「ん!かなたがねぇ、ままとがんばれー!っておーえんしたら、びっぐまんぱーんち!ってねぇ!」
「そっかぁ、さすがビッグマンだねぇ」
私が話をきちんと聞いていることに気分良く、たどたどしくも興奮気味にテレビの内容を話して、彼方は不意に思い出したように言う。