ツンデレな彼と甘キュン社内恋愛

「そうだよ。これまで美紅があんたを本気で嫌がったことある？それどころか、いつもあの子は自分からあんたに触れてたでしょ」



呆れたように言う速水さんの隣では、先程よりは落ち着いた彼女が真面目な顔で言う。



「もし今美紅が桐谷さんに口説かれて、美紅が頷いてもあんたは後悔しない？」



後悔、？

今もし彼女が誰かのものになって、俺は絶対後悔しないなんて言えるか？

あの時ああしていれば、こうしていれば、想像で諦めたりしないできちんと伝えていれば、観覧車で勇気を出してキスをしていれば。そう思わないと、言い切れる？



「しないって言い切れないなら、これ」



惑う俺に差し出されたのは、阿部さんの赤いスマートフォン。その画面にはメールが表示されており『送信者:美紅 本文:今新宿のシグナルってお店にいるよ。どうして？』…と、原さんから来たメール。

恐らく阿部さんがどことないメールで、彼女たちの居場所を聞き出したのだろう。