ツンデレな彼と甘キュン社内恋愛
あぁもう、折角初めての二人でのデートだったのに…!
「ご、ごめんね…彼方の分の入園料は私が払うから!というか、綾奈ちゃんが持たせてくれたから…!」
「別にいいよ。彼方、おはよ」
「おはよー!びっぐまん、きょーもおっきいねぇ!」
「そうだね、簡単に縮んだりしないからね」
必死に謝る私を責めることもなく、青井くんは私の頭をぽんぽんと撫で、彼方へ話しかける。
青井くん、怒ったりも責めたりもしない…。それどころか自分から彼方に話しかけてくれて、優しいなぁ。
「行こう。原さん」
「…うんっ」
そして二人の最寄り駅から電車に揺られ三十分。東京のはずれにある、そこそこ大きな動物園『東京アニマルパーク』へとやって来た私たちは、日曜日らしく人でにぎわう園内を三人で歩く。
「彼方、なにが見たい?」
「んーとねぇ、おさるさんに、らいおん、きりんと…」
「ん、じゃあ順番に見て行こ」
「みるー!いこ!」
彼方は右手を私と繋ぎ、左手を青井くんとつなぐ。その突然のことに青井くんは少し驚き戸惑いながらも、彼方の手をそっと握り歩き出した。
なんか…まるで、家族みたいかも。いつか青井くんと結婚したら、こんな風に三人で手をつないで…って気が早すぎ!私!
だけど三人並んで手をつなぐ、そんな光景が嬉しくて、ふふと笑みがこぼれた。