ツンデレな彼と甘キュン社内恋愛



あぁもう、折角初めての二人でのデートだったのに…!



「ご、ごめんね…彼方の分の入園料は私が払うから!というか、綾奈ちゃんが持たせてくれたから…!」

「別にいいよ。彼方、おはよ」

「おはよー!びっぐまん、きょーもおっきいねぇ!」

「そうだね、簡単に縮んだりしないからね」



必死に謝る私を責めることもなく、青井くんは私の頭をぽんぽんと撫で、彼方へ話しかける。

青井くん、怒ったりも責めたりもしない…。それどころか自分から彼方に話しかけてくれて、優しいなぁ。



「行こう。原さん」

「…うんっ」



そして二人の最寄り駅から電車に揺られ三十分。東京のはずれにある、そこそこ大きな動物園『東京アニマルパーク』へとやって来た私たちは、日曜日らしく人でにぎわう園内を三人で歩く。



「彼方、なにが見たい?」

「んーとねぇ、おさるさんに、らいおん、きりんと…」

「ん、じゃあ順番に見て行こ」

「みるー!いこ!」



彼方は右手を私と繋ぎ、左手を青井くんとつなぐ。その突然のことに青井くんは少し驚き戸惑いながらも、彼方の手をそっと握り歩き出した。



なんか…まるで、家族みたいかも。いつか青井くんと結婚したら、こんな風に三人で手をつないで…って気が早すぎ!私!

だけど三人並んで手をつなぐ、そんな光景が嬉しくて、ふふと笑みがこぼれた。




< 257 / 272 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop