ツンデレな彼と甘キュン社内恋愛
「謝るだけなら誰でも出来るんだよ。ガキには痛い思いで教えてやらねーとわからねーよなぁ」
まずい、この人の勢いでは今すぐ手を出されかねない。でも彼方だけは守らなくちゃ。彼方を殴られるくらいなら、私が殴られたほうがいい。絶対いい。
「おい聞いてんのかよ…このガキっ…!!」
そう彼方の肩を強く抱きしめる私に、余計苛立ちを増した男性は太い右腕をこちらへ振り上げた。
殴られるっ…!!
覚悟を決めてぎゅっと目を瞑った。
「……、…」
ところが、いつまで経っても殴られる感触も痛みもない。
あ、れ…?
どうしてだろう、とそっと目を開けるとそこには目の前にある背中。
肩甲骨の浮き出た骨っぽい、だけど大きなその背中は青井くんのもので、よくよく見ると彼は男性の腕を左手でしっかりと掴み止めている。