ツンデレな彼と甘キュン社内恋愛
「さ、財布…落としてたの?」
「みたいだね。今知ったけど」
「え!?それにしては冷静じゃない!?」
「そう?まぁ割とよくあることだし…」
「……」
普通財布を落としたらすぐ気付くし、今知ったら知ったで驚くなりするだろう。けれど彼は相変わらず、無表情のまま。
な、なんか…青井くんって…
携帯の電源切れてるのは気付かないし、財布落とすのもよくあるみたいだし、それでも落ち着いてるし…
実は結構、ボーッとした人…!?
ならもしや、そう恐る恐る問いかける。
「…あ、あの。青井くん?」
「?何」
「えと…いつも私が挨拶してるの、知ってる?」
「…?誰に」
「青井くんに…おはようとか、お先にとか」
「……」
黙ったまま首を傾げる様子から、やはりどうやら挨拶されたこと自体気付いていなかったようで…。
無視してたんじゃなくて、ボーッとしてて気付いてなかっただけなんだ…!
気付かれないのもどうかとは思うけど、意図的に無視されたわけではないことに安心してしまう。