ツンデレな彼と甘キュン社内恋愛
近ヅク距離
2.
「ねっ…寝坊したー!!!」
ある平日の、朝7時すぎ。
ベッドから飛び起きた私は寝癖を直しながらバタバタと家族の揃うリビングへと駆け下りた。
「あら美紅、おはよう」
「もー!お母さん何で起こしてくれないの!」
「いい歳して親に頼らないの」
「美紅ちゃん、朝ごはんは?」
「ごめん、食べてる時間ないー!」
手当たり次第に服を選び、洗面所や自室をドタバタと駆け回る。時計の針が指すのは、7時10分。
「ねぇ康之、美紅ちゃんってばそんなに急がなくても…いつも早めに出てるだけで、この時間の電車でも仕事には間に合うんじゃないの?」
「いや、あいつはこの時間帯の電車乗ったらかなりの確率で遅刻するんだよ」
「へ?どうして?」
「何てたって、満員電車だからなぁ」
「???」
視界の端でそう会話を交わすお兄ちゃんたちに相槌を打つ余裕すらもなく、簡単に化粧を終えバッグを持った。