ツンデレな彼と甘キュン社内恋愛
うちの会社は、8時半にはデスクに着いていればいい。だから8時すぎに最寄り駅に着く電車に乗れば余裕で間に合う。
けれど私は毎日、それより一時間は早く着く電車で出勤している。
なぜならその時間は通勤ラッシュ。サラリーマンやOLなど、同じように仕事へ向かう人たちに溢れた満員電車に乗ることは私にとっては遅刻を意味するから。
『電車内、大変混雑しております。ドア付近のお客様はー…』
うぅ、大混み…。
着いた駅に来た電車は案の定の満員。乗ることに躊躇うものの、流れに巻き込まれ電車内へと詰め込まれてしまう。
「わっ、あっ、ぎゃっ…!」
狭い電車内で沢山の人に押し潰され、息をすることすらつらい。
く、苦しい…!
それに耐え電車に揺られ数十分…
『**駅、**駅ー…』
「あっ、すみません!降りますっ…降りますー!」
会社の最寄り駅で降りようとするが、ぎゅうぎゅうに人が押し合う中では私は身動きなど取れない。
結果、電車から降りることは叶わず…。
『ドアが閉まりますー…』
「あっ!!」
プシュー…
私を乗せたまま、無情にもまた電車は走り出す。
「っ〜…」
これは、遅刻だ…。
これだから、満員電車は苦手だ。