ツンデレな彼と甘キュン社内恋愛
「どうかした?」
「髪に、ゴミ」
「えっうそ!どこ?」
「もうちょっと下…」
青井くんの言葉に、自分の髪についたゴミを手探りで探すもののなかなか取れずにいる私に、彼は触れようと手を伸ばしたかと思えばピタ、と一度動きを止めた。
どうしたんだろう、そう思い彼を見れば青井くんは突然私に視線を合わせるように屈んで髪に触れた。
「ど、どうしたの…?」
「…こうした方が、見下ろされるより怖くないかと思って」
「え…」
それはつまり、昨日の話の続き。
『俺に見下ろされるの、怖いだろうし』
あれは根に持ってるというより、気にしてくれていたんだ…。
ようやく知る、無愛想な彼の言葉に隠れたその気持ち。
「はい、ゴミ取れた」
「あ…ありがとう!」
「…原さん、少し声抑えて。うるさい」
「あっ!ごめん…」
「…冗談」
「え!?冗談なの!?」
そう言って、彼は屈めた姿勢を直しながらおかしそうにふっと笑みを浮かべる。
しっかりと合った互いの目と目。小さな笑顔が嬉しくて、心をドキっとさせて、不意打ちの優しさとその笑顔は、反則だと思った。