ツンデレな彼と甘キュン社内恋愛
『…それは、ある夜のことだった。OLのAさんは、一人オフィスで残業をしていた』
「……」
それからどれほどが経っただろう。先輩たちは既に帰り窓の外が夜の街となった頃、私は一人引き続きパソコンに向かい映像の編集をしていた。
それも、その映像というのもよりによって自社で制作し販売しているよくあるホラーDVD。
怖いの苦手なんだよねぇ…。
映像内の色味を暗めにして、BGMなどの音響を調整して…そんないつもの作業すらも、怖いのが大の苦手な私にとっては肝試しのように緊張する。おまけに作業中はよく音が聞こえるようにヘッドホンで音を聞くものだから、臨場感は余計に増す。
『誰もいないはずの部屋。けれどAさんは不思議と背後から人の気配を感じた』
しかもこんな嫌がらせとしか思えないような内容…!
映像内の“薄暗いオフィスで一人仕事をするOL”という光景が自分に重なってしまい、マウスを握る手にじんわりと嫌な汗をかく。