ツンデレな彼と甘キュン社内恋愛
「あっ、青井くん!?」
「…わ、びっくりした」
思わず大きな声をあげた私に、彼はビクッとしてからゆっくりこちらを振り向く。
「ごっごめんね、シャツ…寒かったよね!?」
「あー…うん。けど原さん、離す気配なかったから」
「すみません…!」
私のバカ…!
昨夜は少し冷えたから、半袖ではさぞかし寒かっただろう。だけどシャツを掴んでしまった私の手を無理にほどくこともなく、そのまま自分が寒い思いをするのを選んだところが、彼の優しさなのだと思う。
「本当ごめんね…」
「別にいいけど」
反省しながらソファから立ち上がり、シャツを手渡す私に、彼はそっと手を伸ばし受け取る。するとその拍子にお互いの手がぶつかりトンッと触れた。
瞬間ひやっと伝うのは、その手の冷たさ。
「わ!手、冷たい!」
驚くほどのその冷たさに、私は思わず彼の手をぎゅっと握った。長い指と大きな手のひらを両手で包めば、より一層その冷たさを感じる。