ツンデレな彼と甘キュン社内恋愛
「…す、すぐごはんつくるから」
「ん。じゃあそれまで少し寝てる…、」
一瞬にして真顔に戻ってしまう顔。けれどその表情の下、やはり体調が悪いらしい彼は、フラ…とよろける体を支えるように私の背後の流し台へと手をついた。
「わ…青井くん、大丈夫?」
「…ん、平気…」
「じゃないよね。顔色さっきより悪くなってきてる…」
そう話しながら、ふと合う目と目。その視線に気付く、こちらへよりかかる彼とすごく顔の距離が近いこと。
「…、…」
いつも以上に虚ろな、茶色い瞳。
吸い込まれそうなその目にまた、ドキッと心は大きく音をたてる。彼に聞こえてしまいそうなほど、大きな音を。
触れたい、
そう私が願うより早く、彼は体をそっと離してベッドへと向かっていった。
「……」
どうして、だろう。
指先ひとつ触れていないのに、目と目が合うだけで、近づくだけで、ほらまたドキドキと心臓がうるさい。
…ごはん、作ろう。
触れたい衝動を抑え、彼の笑顔を思い浮かべて。