ツンデレな彼と甘キュン社内恋愛
彼ノ苛立チ
5.
それは、天気のいい日の朝のこと。
「彼方ー!おはよー!」
「みくちゃー!」
いつもと変わらぬ平日の朝、仕事へ行く支度を済ませた私は起きてきた彼方をぎゅー!と抱きしめ、きゃっきゃと喜ぶ彼方に頬ずりをした。
「今日も可愛いねぇ、天使だねぇ彼方…!」
「てんしー?」
「こら美紅、朝ごはん食べちゃいなさい」
「はーい。はいっ、彼方も彼方のお椅子に座って食べようねー」
「あーいっ」
お母さんに叱られ、私は彼方を子供用の椅子に座らせて自分もその隣へ座る。
目の前にはテーブルに置かれたトーストと目玉焼きと、既に食事を始めているお兄ちゃんとお父さん。
「いただきまぁす」
元気良く響いた彼方の声に、その場の全員の頬が緩んだ。