愛を知らないあなたに
長い睫。

スッと通った鼻筋。

形のいい唇。

月白色の柔らかそうな髪。


そして、琥珀のような綺麗な瞳――。



その瞳にあたしが映っているのがかすかにでも、見えるだけで。


あたしはなぜだか胸がいっぱいになって。

ふわふわした心地に、なる。




近くに感じる琥珀様の気配を察して。


思い出すのは、夜のこと。

同じ布団にくるまり、琥珀様の温もりを感じるとき。


あたしはすごく安心してしまう。



温かい琥珀様。

いつもご飯を作ってくれる琥珀様。


なんだかとても親しみがわくのに――

ドキドキするのはなんでだろう?



無表情。

絶対零度の声。


そんなものには慣れたはずなのに。

時々胸が苦しくなるのはなんでだろう?





――――この二週間で変わったのは。

琥珀様の視線だけじゃない。


あたし自身もだ・・・・・・。




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