愛を知らないあなたに

美しき鬼

けれどその鬼は、あたしが思っていた鬼とは少し違っていた。


確かに黄色っぽい角は頭に生えているけれど・・・



それ以外は、あまりに人と似通っていたから。

というか、ほとんど人だった。




スラリとした高身長。

月白(ゲッパク)色の、さらさらの髪。

思わず見入ってしまうほど綺麗な、琥珀のような瞳。



そして鬼はあまりに―――美しかった。


鼻筋はスッと通っているし。

目だって二重で、睫も長い。

唇も薄くて形がよくて・・・。





・・・・・・・・・鬼?


角つけてふざけてる青年じゃないの?



だいたい鬼が着物を着る?普通。

そりゃ、ラフな着流しだけど・・・。



木賊(トクサ)色の着物は、鬼にとてもよく似合っていた。





「・・・・・・・・・えと・・・鬼、さん、ですよね?」


「そうだ。」



綺麗な琥珀色の瞳は、あたしを見つめたまま。


確かに、この視線の鋭さは鬼だと思う・・・。




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