愛を知らないあなたに
「そ、そんな・・・いいんですか?

琥珀様は鬼なのに・・・・・・・。」


「悪さをするわけではない。

ただ、着物を買いに行くだけだ。何も問題はない。」



むしろ、着物を売っている店にとっては好都合だろう。




「で、ですが、その、村人達は・・・・・・」


「村へ降りたことは、以前にも数回ある。」


「え!?そうなんですか?」


「あぁ。」




そう。


たまにだが、麓の村へ降りて何か買うことがあるのだ。




「生贄。

お前は娘なのだし、同じ着物のままは嫌であろう。

今から行くぞ。

金なら、俺は余るほど持っている。」



俺はそう言い、スッと立ち上がる。




まだまだ日は高い。


村へ行っても、そこまで怖れられはしないだろう。



日が落ちかけていたり、日が落ちたりした後に行った時。


かなり怖れられて、げんなりしたのだ。





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