愛を知らないあなたに
「で、でも、その・・・悪いですよ。

あたし、生贄なのに・・・・・。」


「臭い着物を着ていられる方が迷惑だ。

行くぞ。」


「・・・・・・・・・・・・はい。」



生贄は何も言えなくなったらしく。

小さく小さく返事をした。






「はぁ~・・・。

琥珀もさーなんか言い方あるでしょほかに。」



なぜだかタマに呆れられた。


・・・・・・なんでだ?




ふと生贄を見れば、なんだか申し訳なさそうにしょんぼりと俯いていて。



自己嫌悪に陥った。


俺は・・・また何か、生贄を傷つけてしまったのだろうか・・・。




そして、自己嫌悪している自分に、また困惑した。



なぜ・・・なぜ、自己嫌悪を?


生贄がしょんぼりしているだけなのに、なぜ、自己嫌悪を?






思わず眉間にしわを寄せれば、タマがニヤリと笑った。





< 137 / 377 >

この作品をシェア

pagetop