愛を知らないあなたに
神社の周りには結界のようなものが張ってあり。


出入りするとき、風が吹き、世界が歪む。



生贄はそれに驚き、不思議がっていた。

なぜそんなことができるのかと。



簡単に言えば、妖力があるからだろう。







―――そして、山を降り、村に着けば。


やはり村人は俺を見て、怯えた顔をした。




そして、生贄の方を見て、目を見開いていた。



「なぜ・・・なぜ生きているんだ?」


ひそひそと囁きあうのが耳に届いた。




それもそうだろう。


生贄は食われるべきもので、すでに食われていると考えるのが妥当。



驚くのも無理はない。


実際、俺も未だになぜ食べたくないと思うのか分からぬのだから。



などと思いながら歩いていると。


「いたっ!!!」



生贄の頭に石が投げつけられた。

小さいが、少しごつごつしている石だ。




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