愛を知らないあなたに
「リン、大丈夫?」


「タマ、大丈夫だよ~」


心配そうに生贄を見るタマに、生贄はなんでもないというように笑った。



俺は、思わず眉をひそめた。


どういうことだ?

幽霊なのか確かめようとでもしたのか?





思案じていると、不意に。

目の前に9,10歳ぐらいの3人の男の子供が現れた。


手には、大量の石を持っている。





「なんで帰ってきてんだよ!」


「お前!生贄になって鬼様に食べられたんじゃなかったのかよ!」


「帰ってくんじゃねーよ!」



叫びながら、子供は生贄に石を投げつける。




どういう・・・ことだ?


状況が理解できなかった。



鬼である俺が石を投げつけられるならまだしも。


なぜ、この村の住人であった生贄が、石を投げつけられているのだ?



生贄は、何も言わず、抵抗もせずに。

ただただ、石を投げつけられるままにしていた。





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