愛を知らないあなたに
「生贄?」



どういうことなのか聞こうと、顔を覗きこめば。


生贄の黒い瞳が・・・・・・何も見ていないような錯覚に囚われた。





黒い瞳。


それは、どこか、ここではない遠くを見つめているようで。

何も見ていないようで。



何の感情も、読み取れない。


黒い瞳はただ、そこにあるのみ。





タマも生贄の異変に気付いたのか。


表情を引き締めた。




子供は石を投げるのをやめない。


そしてそんな子供を、誰も止めようとしない。




なぜ?

なぜだ?


生贄は・・・ここの住人ではなかったのか?




「出てけっ!!!」


「帰ってくるな!!!」


「もう、村に姿を現すな!!!」





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