愛を知らないあなたに
神社は、やっぱりとても広かった。

素足に、ひんやりとした床の感触が伝わってくる。


鬼はまた、音も立てずに入り口を閉めた。


そして、あたしをまたじっと見る。





―――しばしの無言。




・・・・・・・・・あたし、何すればいいんだ・・・。


食われるだけなんだけど、鬼様はあたしをまだ食おうとしていない。



このままこの美しい鬼様を見ているのはかなり目の保養になるけど・・・。


さすがに、気詰まりだよね。




「・・・寝るか。」


唐突に鬼様は言った。



確かに、時間としては睡眠が最適だ。

鬼様はのそのそと布団を敷き始めた。



あたしは朝ごはんとなるのだろうか・・・。


夕飯ではないらしいことは判明して、とりあえずホッとしたけど。

不安は消えない。


というか、食われるまで消えないんだろうなぁ・・・。


食われる、って・・・・・・

痛いのかな。

辛いのかな。

苦しいのかな。




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