愛を知らないあなたに
うんうん!と、激しく頷いていると。



「よく眠れたようで、よかった。」


琥珀様が、いくらか柔らかい口調で言った。




――ドキッ

不覚にも、心臓が大きく跳ねた。



う、わぁ・・・・・・。

絶対零度の声だけど、口調が柔らかい。


たった、それだけで。

鼓動が速くなるのだから、困りものだ。




「はぁー・・・リン生きててよかったよぉ。」


そしてどうやらタマは、あたしを死んだことにしていたらしい。

なんて失礼な。





「―――で。

話してくれるのか?生贄。」



琥珀様が、キンッと凍った氷のような声を出す。


柔らかな口調は消え、いつもと同じような淡々とした口調に変わる。



何を思っているのか、全然分からない。



それでもあたしは、琥珀様を真っ直ぐに見つめて、コクリと頷いた。




あたしは、話すと決めたから・・・・・・。





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