愛を知らないあなたに
浅葱さんはいつも、あたしにそう言ってくれました。



どこまでも真っ直ぐに、あたしに『大好き』と『愛してる』を、伝えてくれました。





浅葱さんがいなければ、あたしはたぶん、生きてなんかいられなかったと思います。



雪女の末裔。

村長の1人息子をたぶらかした女の娘。



あたしは、存在自体を無視されたり、蔑まされたりしました。




消えることのない偏見。

変わることのない考え。






あたしは、村にとっていらない人間でした。



けれど浅葱さんは、あたしを愛してくれましたし・・・

あたしは愛されて生まれてきたと解っていました。




だから、耐えることができたのです。






けれど、13歳の時に、浅葱さんは病で死んでしまいました。



あたしの前から、いなくなってしまったのです。





だから――




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