愛を知らないあなたに
感情をどこかに置き忘れてきちゃったのかな・・・?



「普通女なら、もっと甲高い声だろう。」


「・・・・・・女らしさがないと言いたいのですか?」


「あぁ、そうだ。」


どうしよう。

今もの凄くこの鬼の綺麗な顔を殴ってやりたいんだけど。



あたしはぐっとその衝動を抑える。

だってあたしは、生贄だ。


そんなことをしたら、村が危ない。

生贄の意味がない。


あたしは更に、差別される。




「早く掛け布団の中に入れ。」


鬼様はさっきの発言などなんてことのないように、さらりと言った。



あたしは、やっぱりムッとしたけれど抑えた。

そして、気になることを聞いてみた。


「つまり、この布団の中で寝ろということですか?」


「あぁ。」


「・・・・・・鬼様と、一緒に?」


「あぁ。」



・・・・・・・・・・・・・・・は?


ちょっと待て。

なんか、おかしくないか?




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