愛を知らないあなたに
生贄は、あっさりと、誰一人反対なんかせずに、あたしに決まりました。




だからあたしは今、ここにいるのです。



そして、だからこそ・・・・・・


村の人達は、あたしを、あんなにも追い出したがったのでしょう。




やっと、やっと邪魔者を追い出したのに!というような心境だったのでしょう。

おそらく。









―――お分かりいただけましたか?琥珀様。



理解できた?タマ。




なんで村の人達があんなにもあたしを追い出したがってたのか。





けど、あたしを哀れんだりはしないでくださいね。



あたしは、可哀想な奴じゃない。




あたしは確かに愛されて生まれてきました。


それに、きちんと愛されたんです。




だから、全然、可哀想なんかじゃないんです。






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