愛を知らないあなたに






◆◆◆




「・・・それに、琥珀様とタマにも会えましたしね。」


あたしはそう言って、にっこり笑った。



あたしのことを気にかけてくれる人に、出会えた。

・・・いや、人ではないけど。



「・・・・・・リンは、強いね。」


不意に、タマが羨むような口調でぽつりと呟いた。



そっとあたしを見つめ、ふわりと微笑む。

見た目不相応な、大人びた・・・どこか淡い諦めをも感じる笑み。




「リンは強い。そして、真っ直ぐだ。

名前通りの、素敵な子だ。」


「・・・タマ?」



思わず呼びかけていた。

だって、なんだか、いつものタマじゃない気がして・・・。


けれどタマはあたしの呼びかけには応じず、琥珀様に視線を移す。



「そんな子に、そういうふうに言ってもらえると、うれしいね。

ね、琥珀。」



タマの言葉に、琥珀様は答えなかった。

ただ、真っ直ぐに、あたしを見つめるだけ。




< 171 / 377 >

この作品をシェア

pagetop