愛を知らないあなたに
無性に、嬉しかった。

そうやって言ってくれたことが。

あたしが眠いことに、気付いてくれたことが。



スッと、琥珀様があたしに近寄り、顔を覗きこんできた。


鼓動が速くなり、顔に熱が集中する。




「寝るか?」


琥珀のような綺麗な瞳に見つめられ、あたしはただ頷くことしかできなかった。

それで、精一杯だった。



琥珀様は1つ頷き、スッと音も立てずに静かに、寝ている広間へと歩いて行った。


それを見て、あたしは慌てて腰を浮かした。


「あ!琥珀様!布団ならあたしが・・・」


「いや、俺がやっておく。お前は食べ残さぬようにしろ。」



琥珀様はちらりとあたしを見てそう言い、するりとこの広間から去っていってしまった。


でも・・・と、俯くあたしに、タマがにっこり笑いかけた。



「せっかく琥珀が作ってくれたんだよー。食べなきゃもったいないよ。」


「・・・・・・うん。」



確かにそうだ。

タマの言う通り。


作ってくれたのに残すなんて、失礼だ。



あたしはまた箸を持ち、ご飯を口に運んだ。




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