愛を知らないあなたに
・・・しない、よね・・・・・・普通。

でも、琥珀様は鬼だから・・・人とは感覚が違うのかな?



琥珀様はじっと薺さんの瞳を見つめて、表情を変えずに頷いた。


「あぁ、そうだな。」



あっさりとした、あまりに普通な答えに、胸がきゅぅきゅぅ締め付けられる。





『知り合いのようでいて・・・知り合いよりも友達よりもふかーい関係。』


薺さんの妖艶な声が、耳の奥で繰り返される。



もやもやは、消えない。

むしろ濃く、大きくなっていく。


灰色の雨雲で、心の中が埋まってしまいそうだ。




だって、2人だけ違う世界にいるようで、入っていけない。


それに、どっちも美形で・・・すごく、すごく絵になる。






『ふかーい関係』で・・・美しい薺さん。

ほんの少し前にここに来たばかりの・・・生贄のあたし。


ね、あたしの琥珀様への想い、無駄じゃないなんて誰が言えるの?






「・・・あれ?どうしたの?固まっちゃって。

腕絡ませるとか、刺激強すぎた?」


ハッと気が付けば、薺さんが琥珀様の腕を離し、あたしの顔を覗きこんでいた。




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