愛を知らないあなたに
「・・・え・・・・・・?」


驚いて、思わず唇から呆然とした声が漏れた。

『刺激強すぎた?』?


戸惑ったあたしが瞳を揺らすと、薺さんは眉を八の字にさせて言った。



「あたしってけっこう琥珀と自然と腕を絡ませるから・・・

でも、あなたみたいな“女の子”には、刺激が強すぎたわよね。

ごめんなさいね?」



・・・・・・そ、ういうこと・・・。


なんだか泣きたくなった。


同等とさえ思われていない。

気にしてるのなんか、あたしだけ。



でも確かに薺さんは、若くて美しいけれど、大人の人・・・。




あたしは唇を噛み締め、俯いた。


もう、目の前の光景を見たくもなかったから。





「ふふっ。ほーんと、純粋ね。

・・・羨ましいほどに。」



最後にぼそっと呟かれた言葉に、思わず顔を上げた。


だって、その口調は真剣そのものだった。




薺さんは眩しいものを見るように、あたしを見ていて、あたしはうろたえた。


なんで薺さんがあたしをそんな・・・羨望の目でみるの?




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